8月9日 スガモリ峠朝駆け
大曲⇒スガモリ小屋⇒北千里浜⇒久住別れ⇒星生崎⇒星生山⇒大曲
PENTAX K10D NIKON COOLPIX P5000
「寝過ごしたー!」
寝静まった長者原駐車場に僕の絶叫がこだました。
金曜日午後、久留米はものすごい雷雨に襲われた。朝駆けをしようと準備は整えていたが、ちょっと逡巡するような酷さだった。九重付近の土曜日の予報も終日曇りと雷注意報だ。
しがない自営業の身、今週山行出来るのは明日のみ。十中八九撃沈覚悟だが、ひょっとしたらの思いから決行する事とした。或る人はそんな僕を「ギャンブラー」と形容してくれた(相も変わらず嫁さんは変人視してるが)。
いつもどおり四季彩ロードを通り長者原に10時過ぎに着いた。空は稲光りがしているものの星も見え、三俣山もシルエットを見せている。来て良かった、の思いを胸に仮眠をとることに。逆算して3時間は寝れる。携帯のアラームをセットし横になる。
ところがである。
ふと目覚めると3時30分、完全に寝過ごしてしまった。アラームも効果無しだ。今日は牧ノ戸から久住稜線での大船越しのご来光狙い、もう間に合わない。色々コースを考えたが、師匠のHPのBBSで見た北千里の猿岩が頭に浮かび、結局大曲からスガモリ経由で北千里の突端からの大船狙いとし、急いで大曲へ移動した。
バタバタ準備し4時前入山、鉱山道路を歩く。程よい風が有り、長袖シャツでちょうど良い感じだ。相変わらず稲光りがしてあまり気持ちのいい感じはしないが、雷鳴は聞こえないし上空の星も瞬いている。横の三俣山もクッキリ見えている。この段階では1時間後の結末を予想できるものは何一つなかった。
ガレ場を登り、スガモリ避難小屋に4時40着。小休止する為にザックを降ろす。北千里を俯瞰すると何と言うことだ。ガスで何も見えない。黎明に浮かぶ大船も、猿岩のシルエットも、というか、北千里自体が見えない。スガモリまでガスの欠片もなかったと言うのに。そうこうしている内にガスが三俣にも押し寄せ、みるみる西峰斜面を隠していく。本当にアッという間だった。
ほんの5分の間にホワイトアウト、呆然とした。九重の女神は残酷だなぁ(T_T)
覚悟を決め、ガスが取れるのを待つことにした。コーヒーを沸かしパンで簡単な朝食を摂る。日の出の時間を過ぎてもガスは薄まる気配も無い。覚悟はしていたが、途中のぬか喜びとは裏腹な大撃沈だ。
しばらく待機したが、今日初の登山者、法華院泊の鹿児島の男性が来られたのを契機に腰を上げる。男性は三俣に登られるそうで、ガスが取れるまで仮眠するみたいでツェルトに包まっている。僕は北千里から久住分れを目指すことにする。
ガスの中をちょっと歩くだけでしっとり濡れてくる。
北千里は時折聞こえる硫黄山の噴煙と小鳥のさえずり以外静まり返っている。少しだけ薄くなったガスに一人包まれ歩いていると、段々自分が癒されて行くのが目に見えるようだ。
この空間を味わえただけでも来た甲斐があった。女神、さっきは残酷だなんてゴメンナサイ。
充分です。
独り占めの北千里をゆっくり歩き、久住分れへ。もちろん盟主も見えない。
ただガスに包まれた盟主方向から人の声が聞こえる。誰か登っているのは間違い無いようだ。
無人の避難小屋を覗いた後、広場の岩に腰を降ろしタバコをふかす。ここでやっと肥前ヶ城方面だけガスが取れ写真を撮ることが出来た。でも、盟主をはじめ連山の主だった山はガスの中だ。
星生新道を下山路にするので、ここから星生崎を経由して星生山に登る。
星生山の縦走路はノリウツギ咲く雲上のプロムナードのようだ。遠望が無い分幻想的で隔絶された世界だ。誰も居ないこの世界を満喫するようにゆっくりゆっくり歩いた。
8時、星生山頂に立つ。360度乳白色に包まれているが、3人の家族連れが写真を撮っている。午後からは晴れそうな気もするが、今日はここまで。8時20分星生新道より下山する。
星生山北斜面もノリウツギが咲き誇ってとてもきれいだ。視界も泉水方面はガスが取れており長者原も見えている。
泉水山稜線が青空に映えている。
しかし、ここからが大変だった。星生新道は6月のミヤマキリシマ鑑賞時以来だが、夏場の今は登山道がササに覆われてしまい、ただでさえ狭くて急な登山道の足元がまったく見えなくなっている。強引に太ももでかき分け降りていくが、隠れた段差で足を取られ、何度転んだことか。ズボンはぐっちょり、手も足も打ち身擦り傷だらけになってしまった。それでもすり足で探るように降り、なんとか9時30分下山。この道は夏場の朝は止めた方が無難だろう。
結局三俣山は一度も姿を現すことは無かった。
夜、僕の車以外1台しかなかった大曲も5、6台は止まっているが、いつもよりかなり少ない駐車台数だった。
午後から大牟田に寄航中の日本丸を撮りに行く予定だったので駆け足の登山となったが、久しぶりの久住はやっぱりイイ。
女神も次回はきっと素晴らしい夜明けを見せてくれるだろう(^_-)-☆
PENTAX K10D NIKON COOLPIX P5000
「寝過ごしたー!」
寝静まった長者原駐車場に僕の絶叫がこだました。
金曜日午後、久留米はものすごい雷雨に襲われた。朝駆けをしようと準備は整えていたが、ちょっと逡巡するような酷さだった。九重付近の土曜日の予報も終日曇りと雷注意報だ。
しがない自営業の身、今週山行出来るのは明日のみ。十中八九撃沈覚悟だが、ひょっとしたらの思いから決行する事とした。或る人はそんな僕を「ギャンブラー」と形容してくれた(相も変わらず嫁さんは変人視してるが)。
いつもどおり四季彩ロードを通り長者原に10時過ぎに着いた。空は稲光りがしているものの星も見え、三俣山もシルエットを見せている。来て良かった、の思いを胸に仮眠をとることに。逆算して3時間は寝れる。携帯のアラームをセットし横になる。
ところがである。
ふと目覚めると3時30分、完全に寝過ごしてしまった。アラームも効果無しだ。今日は牧ノ戸から久住稜線での大船越しのご来光狙い、もう間に合わない。色々コースを考えたが、師匠のHPのBBSで見た北千里の猿岩が頭に浮かび、結局大曲からスガモリ経由で北千里の突端からの大船狙いとし、急いで大曲へ移動した。
バタバタ準備し4時前入山、鉱山道路を歩く。程よい風が有り、長袖シャツでちょうど良い感じだ。相変わらず稲光りがしてあまり気持ちのいい感じはしないが、雷鳴は聞こえないし上空の星も瞬いている。横の三俣山もクッキリ見えている。この段階では1時間後の結末を予想できるものは何一つなかった。
ガレ場を登り、スガモリ避難小屋に4時40着。小休止する為にザックを降ろす。北千里を俯瞰すると何と言うことだ。ガスで何も見えない。黎明に浮かぶ大船も、猿岩のシルエットも、というか、北千里自体が見えない。スガモリまでガスの欠片もなかったと言うのに。そうこうしている内にガスが三俣にも押し寄せ、みるみる西峰斜面を隠していく。本当にアッという間だった。
ほんの5分の間にホワイトアウト、呆然とした。九重の女神は残酷だなぁ(T_T)
覚悟を決め、ガスが取れるのを待つことにした。コーヒーを沸かしパンで簡単な朝食を摂る。日の出の時間を過ぎてもガスは薄まる気配も無い。覚悟はしていたが、途中のぬか喜びとは裏腹な大撃沈だ。
しばらく待機したが、今日初の登山者、法華院泊の鹿児島の男性が来られたのを契機に腰を上げる。男性は三俣に登られるそうで、ガスが取れるまで仮眠するみたいでツェルトに包まっている。僕は北千里から久住分れを目指すことにする。
ガスの中をちょっと歩くだけでしっとり濡れてくる。
北千里は時折聞こえる硫黄山の噴煙と小鳥のさえずり以外静まり返っている。少しだけ薄くなったガスに一人包まれ歩いていると、段々自分が癒されて行くのが目に見えるようだ。
この空間を味わえただけでも来た甲斐があった。女神、さっきは残酷だなんてゴメンナサイ。
充分です。
独り占めの北千里をゆっくり歩き、久住分れへ。もちろん盟主も見えない。
ただガスに包まれた盟主方向から人の声が聞こえる。誰か登っているのは間違い無いようだ。
無人の避難小屋を覗いた後、広場の岩に腰を降ろしタバコをふかす。ここでやっと肥前ヶ城方面だけガスが取れ写真を撮ることが出来た。でも、盟主をはじめ連山の主だった山はガスの中だ。
星生新道を下山路にするので、ここから星生崎を経由して星生山に登る。
星生山の縦走路はノリウツギ咲く雲上のプロムナードのようだ。遠望が無い分幻想的で隔絶された世界だ。誰も居ないこの世界を満喫するようにゆっくりゆっくり歩いた。
8時、星生山頂に立つ。360度乳白色に包まれているが、3人の家族連れが写真を撮っている。午後からは晴れそうな気もするが、今日はここまで。8時20分星生新道より下山する。
星生山北斜面もノリウツギが咲き誇ってとてもきれいだ。視界も泉水方面はガスが取れており長者原も見えている。
泉水山稜線が青空に映えている。
しかし、ここからが大変だった。星生新道は6月のミヤマキリシマ鑑賞時以来だが、夏場の今は登山道がササに覆われてしまい、ただでさえ狭くて急な登山道の足元がまったく見えなくなっている。強引に太ももでかき分け降りていくが、隠れた段差で足を取られ、何度転んだことか。ズボンはぐっちょり、手も足も打ち身擦り傷だらけになってしまった。それでもすり足で探るように降り、なんとか9時30分下山。この道は夏場の朝は止めた方が無難だろう。
結局三俣山は一度も姿を現すことは無かった。
夜、僕の車以外1台しかなかった大曲も5、6台は止まっているが、いつもよりかなり少ない駐車台数だった。
午後から大牟田に寄航中の日本丸を撮りに行く予定だったので駆け足の登山となったが、久しぶりの久住はやっぱりイイ。
女神も次回はきっと素晴らしい夜明けを見せてくれるだろう(^_-)-☆
by gin_mh
| 2008-08-10 15:45
| 九重連山